津軽こぎん刺しの歴史
津軽こぎん刺しが生まれて約300年になります。青森県弘前市を中心とした津軽一帯の農
家の女性達が、野生の麻で手織りした布を藍で染めた地布に、木綿の紡ぎ糸で一針一針丹
念に綴り刺したものが始まりです。
しかし、こぎん刺しとして確立されるまでには津軽ならではの事情がありました。冬でも麻布
の衣類しか着られなかった時代には、布地の補強と保温を図って麻地の荒い織目を地刺しで
刺し塞ぐ必要がありました。これが「刺しこぎん」といわれているものです。
この技術が農民の知恵と工夫によって次第に模様刺しへと進化し、今日「津軽こぎん刺し」と
して確立されました。
しかし、この伝承技術を今日の伝統工芸として普及するには、こぎん刺しの基礎的なデータを
整理し、技術を分析し、方法論を確立することが必要でした。
この先人のお一人が工藤得子先生(1913〜1993)です。方眼紙の桝目を利用して技術を分析
・解明し、今日のこぎん刺しの教え方を確立されました。「藍と白の会」は工藤得子先生の教えを
継承するグループです。
津軽こぎん刺しの模様
この素朴な美しさは、北国の農民の暮らしの中から生まれたことを象徴するように、くるみの殻
・豆・猫の目・ねずみの歯・てこな(蝶々)・はなっこなど、身近な動植物をテーマにした模様や、
竹の節・鋸の歯・市松といった直線模様などに典型的に表わされています。
この模様の数は200とも300とも言われています。そしてこれらを組み合わせて創り出される、
無数のバリエーションは、緻密な構成力と共に、日本の近代化時代の危機を乗りこえて今日に
伝えられています。
現代デザインに通じるこぎん刺し
こぎん刺しの多様性・対応性のある幾何学模様と、その展開による構成的な美しさは現代デ
ザインに通じる力があります。そして、今日では伝統を受け継いだ重厚な作品と共に、新しい感
性の作品を創られるようになり、私達の生活の中に息付いています。
津軽こぎん刺しの作品紹介
「藍と白の会」では、毎月交替で会員の作品をご紹介いたします。
デザインや配色のご参考になると思います。ご期待下さい。 「藍と白の会」代表 鎌田久子
津軽こぎん刺しの作品紹介